
「小さな拠点」を求めて
北海道・中川町との出会いは、 地元の木材と土を使って小屋をつくるプロジェクトでした。
大工の講師として、二年間この町に通い、 手を動かし、地元の人たちと汗を流す日々。 自分でも気づかないうちに、 この町と道北という土地が、自分自身に深く染み込んでいました。
道北は、遠く、不便な場所です。 だからこそ、“あえて”ここに住む人たちは魅力的で、 まだ知られていない価値が、至るところに眠っています。
もし、この町に、 ゆっくりと滞在できる宿があったなら。 ただ通り過ぎていた風景が、 まったく違う表情を見せてくれるのではないか。
そんな思いが、次第に強くなっていきました。
「発掘」するという、本当の楽しさ
中川町は、アンモナイトをはじめとする 化石の産地として、実は知られた場所です。
「化石の発掘」と聞くと、 土を掘り進める作業を想像するかもしれません。 けれど、中川町では少し違います。
川辺を歩き、 「ノジュール」と呼ばれる、 ただの丸い石ころのようなものを見つけるところから始まります。 それは石というより、 グレーの粘土が固まったような、石とは違う不思議な質感。
見つけたノジュールを、 ハンマーで、思い切って叩き割る。
中から何が出てくるかは、 割ってみるまで、誰にもわかりません。 空っぽかもしれない。 もしかしたら、世紀の大発見かもしれない。
わからないものに向き合い、 自分の手で答えを確かめる、その瞬間。 胸が震えるような感覚があります。
中川町、そして道北というエリアは、 まだ割られていない、巨大なノジュールのようです。
一見、何もないように見える風景の中に、 まだだれの言葉にもなっていない価値が、 原石が、静かに転がっています。


泊まる、探す、発掘する。
私たちは、二つの拠点を用意しました。
築40年の小さな住宅をリノベーションした、 一棟貸しの宿 「木雨(きう)」。
そして、 ツインルーム三部屋だけの、小さなホテル 「化石」。
ここは、ただ身体を休めるための場所ではありません。 ハンマーを片手に河原へ降りるように、 この町の奥深さを、一緒に「発掘」するための拠点です。
観光地を巡る旅もいい。 けれど、 まだ誰にも見つかっていない景色を、 自分の手で掘り起こす旅も、きっと忘れがたい。
もしかすると、 自分自身の中にある何かを、見つけることができるかもしれない。
原石を割る、あの乾いた音と感触。 この町で、あなたと一緒に響かせられたらと思っています。
LOGOに込めた想い

ノジュールを割った時の断面に、この町の星空を重ねました。




